12. ノイズという電磁波。では電磁波とは?(2)

前回は電磁波についてその電場E 、磁場Hについて説明し、伝搬形態がTEMモードであると説明しました。このTEMモードであることをベクトルの関係で示すと下記の図のようになります。

即ち、電場Eに対して磁場Hが反時計周りで垂直の関係にあり、電場Eと磁場Hにより構成する面(波面となります)に対して垂直な方向が電磁波の伝搬する方向となり、ベクトル積E ×H = SとなるポインチングベクトルSを定義することができます。このポインチングベクトルは電磁波の伝搬する方向を示すと共に、そのスカラー量は電磁波の電力密度を示します。また、ポインチングベクトルSに対する電場Eと磁場Hによる電波の波面の特徴から空間を伝搬する電磁波を平面波と呼びます。そのため、もし励振源から電波が出ているとしたら、それは励振源から面的な広がり(風船が膨らむイメージ)で電波が放射されていることになります。更にTEMモードの電磁波は、下記の図のように一方向(y方向)に対して電場Eと磁場Hが垂直に交差すると共にそれぞれの強度もそれぞれ同一位置で互いに正の比例関係になります。その比例係数が空間インピーダンス(Z0≒120π (Ω))となります。

機器の不要輻射(EMI)を考える場合、EMC対策を担当される方々は”どうしてノイズ(電磁波)が放射されるのか?”という疑問を持つでしょう。そのメカニズムが分かればEMI対策のカギになることが期待できるからです。そこで上記の電磁波の説明は一つのヒントになります。即ち、ポインチングベクトルSが空間に向かっているかどうかということです。

その状況を観る方法として、アンテナにおける電磁界分布の状況を図等にしてイメージすると分かり易くなります。実は、”アンテナはポインチングベクトルSを空間に向ける装置である“ということを実感できるようになります。詳細な説明は当社のEMC設計 背景説明”4.機器からのノイズ放射のメカニズムを理解“のセミナーで行います。

実際の機器のEMIは、機器の基板とケーブルの接続部(コネクター部)がノイズ放射の励振部となり易い部位です。このメカニズムについては和田先生(京都大)のいくつかの論文の中で紹介されていますが(当方は和田モデルと呼んでいます。)、このコネクター部の信号ラインや電源ラインでポインチングベクトルSが空間を向く形態になっているのです。

当社が提供している、PD適用、SD適用はこういったポインチングベクトルSが空間に向く部位の回路の構成に一工夫を加えることで効果的にポインチングベクトルSのスカラー量を低減させ、即ちEMIを低減させる方法を提供します。その詳細についてはPD適用、SD適用の各セミナーの実践編で説明致します。

この辺で次なるEMC設計上で重要な点をまとめさせていただきますと、

④TEMモードの電磁波は電場Eと磁場Hのベクトル積となるポインチングベクトルSを持つ。

⑤ポインチングベクトルSが空間に向かうことで電磁波(ノイズ)は空間に放射されます。

⑥実際の機器ではケーブルのコネクター部でポインチングベクトルSは空間に向かう形態となっています。

⑦PD適用、SD適用はポインチングベクトルSのスカラー量を低減する回路的手法です。

是非、当社のセミナーを通してEMC設計の理解を深めて頂きたいです。

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