ESDサージ・雷サージ・・・何が起きているのか、ご存知?

EMC担当で、対象機器の外部からの脅威の耐性(イミュニティ)として、ESDサージや雷サージの試験で手を拱いた経験をお持ちの方は多いでしょう。何か対策を施して試験にかけるといったことを繰り返しても、これといった解決の方向性が見えず、時間だけが過ぎ、担当者としてはただ疲労感だけが蓄積していく、といった窮地に・・・。結構つらい状態です。

こう言った時、対象機器にサージを印加した時に何が生じているのだろう?という疑問を抱いても、やはりそのサージに対する電気的、物理的な技術や知識がないと考察することはできません。でも大抵は対策活動を続けていればいつか“ナントカなる”という信念で頑張られる方が多いのでしょう。事実、上司からの“何とかしろ”とのアドバイス(?)の下、何とか解決できたという経験を持つ方も大勢居られるからです。やはり、課題解決には気合も重要な要素かもしれません。

ですがまあ、雷サージ・ESDサージの背景に関しては先ずは当社の“雷サージ試験・電源回路Sim &対策”“ESD試験(IEC64000-4-2)対策”のセミナーを受講することを勧めします。雷サージ・ESDサージ試験の背景を理解する手助けになると思います。

サージとは対象機器への外部からの過大電圧が侵入した際に機器内に生じる異常電圧をサージ電圧及び、それに伴うサージ電流を指します。従って、サージ電圧又は電流を疑似的に印加するのが、雷・ESDの各試験となります。

これらサージ試験に関して、混同したイメージをお持ちの方もいるかも知れませんが、雷サージはESDに比べ、約千倍程度サージが影響する時間(雷サージはマイクロ秒レベル、ESDサージはナノ秒レベル)が長く、ダメージとしてのエネルギーも100万倍以上大きくなります。また試験における雷サージは誘導雷と言われる落雷時に間接的に商用電源線等に生じる影響(大まかな言い方ですが)であって、落雷の直撃ではありません。

また各サージ試験により対象機器の構成部品に対してその性能の劣化・不具合を生じさせることはあっても、通常(特にESDでは)、その部品外観にまで変化(ダメージ)を生じさせる程のエネルギーとはなりません。

こう言ったサージへの耐性設計の方針として、少し解説しますと、対象機器に試験パルスを印加した際に対象機器内に生じる2次的な火花放電を制御することが重要になります。この火花放電の本質は空気のプラズマ(イオン化)状態であって、電気回路的な概念・知識では扱えない現象なのです。これらに関して、もしご興味がありましたら当方のそれぞれのサージ試験に関するセミナー及び、ESD設計技術&学術のセミナーで紹介しております。是非参考にして頂きたいです。

少し話は変わりますが、雷の発生原因や雷発生に伴う様々な現象等については未だ解明されておらず、現在に至ってもいろいろな学説があるようで、業界誌等の絵で紹介されているような、地上側が+、雷雲側が-に帯電して雷発生と言った単純なものでは無いようです。そもそも雷雲から地上への落雷の頻度は雷雲の中だけで生じる雷よりかなり低いのです。最近、宇宙からの光速微粒子(宇宙線)が関係するとの説も注目されたりしています。私としては、雷発生時の光が閃光(稲妻)の成長を助長しているのではないかと考えています。稲妻の閃光は空気のプラズマ(空気(酸素や窒素)分子のイオン化による分子の電子の励起と逆励起の繰り返し)によって生じる光なので、プラズマ化していない周囲の空気を次々と励起(光電効果)していく、所謂連鎖が生じて一連の稲妻が形成されるのではないか、などと。

山登りでは雷ほど怖いものはないのですが、高地になるほど雷は上方からではなく横とか下からくるといいます。雷が来そうなときはできるだけ早めに森林地帯に入れるように事前に行動予定を立てることが重要です。これも雷対策ですかね。

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