EMC設計を回路基板のA/W設計に反映させるWD

EMC設計において回路基板(配線基板・プリント基板)のA/W(アートワーク)設計は極めて重要な要素となります。しかし、大手のセットメーカーではこのA/W設計を外注(外の会社)に依頼しているケースが殆どです。このプロセスで依頼する側がとれるEMC設計のA/W設計への反映の方策としては、外部に依頼する際に作成する設計指示書を外注先に出すことと、納入したA/WのCADデータに対してEMCチェッカーツールを適用する方法です。

EMCチェッカーを使った際の課題については” 5. 回路基板におけるEMC設計の実践と検図。当社のWDを提案。”の中で紹介しています。

問題は、A/W設計は極めて重要なEMC設計の要素なのに外注先に期待されることは、決まった形状の回路基板のスペース内に指定した回路図の配線を入れ込むこと、できるだけ短納期であること、作業コストがリーゾナブルであること、が優先されてしまうことです。そのため、A/W設計は外注先のCAD作業者の腕任せになり、CAD作業者のEMCに関する認識度の差により、出来上がった回路基板のEMC性能にも差が出てきます。

A/W設計を依頼する側はEMC設計に関して設計指示書等に記載する場合もありますが、これも外注に依頼する担当者のEMCに関する認識度の差により、設計指示書の記載内容に差(前任者のコピペレベルも)が出るでしょう。

当社のWDの考え方を、公開技術資料”WD Part-I”の中に記載しています。A/W設計を依頼する側が実施したいEMC設計(WDのデザインルール)をCAD作業者に実施してもらうプロセスを紹介しています。

EMC設計の趣旨を回路基板に反映させるために、A/W設計を依頼する側が明確なEMC設計のデザインルールの適用事項と適用する場所をCAD作業者に明示して、その実施状況をA/W設計を依頼した側が確認することが最も簡単で効果的にEMC設計を回路基板のA/W設計に反映できる方法と考えております。これはA/W設計を依頼されたCAD作業者にとっても依頼側のデザイン方針を確認できるので作業に着手し易くなるものと思われます。

そこでWDで示されるデザインルールは、ということになりますが“3.WD(Wiring Board Design for EMI)提案”のセミナーの中で紹介いたします。例として、EMCチェッカーではEMI対策として禁止されている“GND跨ぎ”について、WDのデザインルールでは“GND跨ぎ”があってもEMIを悪化させないデザイン方法を紹介しています。

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