ESD対策の新たなる進展はあるのか?

最近EMC関係の某会社で開催されたESD対策関係のセミナーを聴講させて頂きました。内容としてはESD対策部品関係、ESDの測定器(スキャナ)、ESD対策のための回路基板チェックツール等であり、どちらかというと、ESD対策製品に関する各社の製品紹介と言ったところですが、その製品が開発されたバックグランドと言うべきか、各社のESDに対する考え方を説明されていたところに興味がありました。

セットメーカーにおけるESD対策は、IEC61000-4-2に準拠したESDガンを使った試験をパスすることが一つの目安になっており、製品の耐ESD性能を担保するものになっています。但し、このESDガンを使った試験はあくまで実際のESD現象の模擬であって、その試験の仕方についても未だに議論が継続しています。しかしながら、セットメーカーとしてはESDに関する細かな議論も大切なのですが、ルール化された基準に対してできるだけ対象機器の構成に変更を加えず、EMC対策部品を追加しないで如何にESD試験をパスするかに注力することになります。

ESDガンを使った試験では、機器におけるESDパルスの印加・注入箇所(通常は接地されたフレーム)から接地(アース)部位に向かってESD電流が流れます。但し、モバイル系機器の場合は一時的にフレームに帯電(後で除電処理を行う)されます。この状況を見て大抵のEMC技術者は

  1. ESD電流の流れ方を知りたい、
  2. できればESD電流の流れ方(通路)を制御したい、
  3. もし信号線に電流(電圧)が誘導され機能部品の誤動作に至っているとしたら、その電流(電圧)を対策部品(コンデンサ/TVSダイオード)で抑制したい

と考えるでしょう。

ESD対策関係のセミナーはこういったEMC技術者に向けたESD対策技術・製品に関する情報提供の場となっている訳です。ただまあ、ESD対策に関する考え方に対する対策製品の情報もここ数年は目立った進展は無くなりつつあるように思われ、お金をかけさえすれば完全解決なのではと思えるのですが、それでもセットメーカー側にはまだ納得できない”もやもや感”があるように思われます。

上記した1. ~3.の考え方以外のESD試験対策は無いないのでしょうか?

私の今までのESD対策の経験の中で、一見ESD電流の流れとは関係ない(と思われる)ところで不具合が発生しているように見えることがあり、その解析にてこずったことがあります。その時は明確な原因追及はできませんでした。しかし、その後ある現象を見つけてからはそれが原因である場合もあることを確信するようになりました。よく言われる単純な”GND強化”等といった類ではありません。

詳細につきまして当社の” 6.2.IEC61000-4-2試験対策” のセミナーの中で解説いたします。是非ご利用頂けるとありがたいです。

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