30. 基板端部配置のコネクタ周辺、如何なるノイズ対策が有効か?

回路基板のA/W設計を行っている時に、回路図面の信号ラインや電源ラインが回路基板端部よりコネクタを介して他の回路基板に繋がる構成となっていて、その信号ラインや電源ラインにEMC対策のフィルタを挿入する設計になっているような場合に、そのフィルタの配置に関して、①各ラインの信号源又は電源側、或いは②各ラインそれぞれのコネクタ側の何れがよりEMC設計として好ましいでしょうか?

これに関してはケースバイケースな面もありますが、EMC設計の段階としては迷わず①を考えるべきです。フィルタの類は基本的に伝送線路におけるインピーダンスミスマッチによって不要帯域のノイズをノイズ源側へ反射させる機能を持ちますので、不要なノイズをできるだけノイズ源から漏洩させないようにすると考えるべきでしょう。しかし、ケーブル等からのノイズの輻射を想定すると、ケーブルが接続するコネクタ部の方がより効果的にノイズ抑制ができるのでは、とも考えられます。しかし、既にケーブルに接続先の他の回路基板からのノイズが重畳してきている場合には、そのノイズに対してコネクタ付近に配置したフィルタはそのノイズをケーブル側に反射させてしまうので、ケーブルにおけるノイズの定在波を起こしやすくなり、ノイズ輻射の原因となってしまいます。やはり、フィルタの類のコネクタ付近の配置はあまり好ましいと言えません。

同軸ケーブル等伝送インピーダンスが調整されたケーブル等を除くと、よく使われている回路基板間を接続するケーブルのインピーダンスは高め(100Ωを越える程度でしょうか?)で且つ一定ではありません。それに対し、4層基板等の回路基板のラインのインピーダンスは70Ω以下程度と、よく使われる(廉価な)ケーブルに比べ低めになります。そのためどうしてもコネクタ部ではインピーダンスミスマッチが生じ、ノイズとなる周波数帯域では定在波が生じやすくなります。

ただ、この時の特徴としてコネクタ部での低いインピーダンス側となる回路基板側の伝送路で生じる定在波の電流振幅は増大する傾向となります。そのため、その増大した電流振幅を逓減させる損失系の素子(抵抗やビーズ)をコネクタ付近で挿入させることはノイズ低減する上で極めて有効となります。

しかし、実際の回路基板の実装の状況をみると、コネクタ周囲にはコンデンサが数多く配置されている例が多く、回路の考え方は様々と思いながらも私としてはどの程度有効に機能しているのか、等と思ったりします。

こう言った信号ライン、電源ラインにおけるフィルタの類やビーズ、コンデンサ、抵抗といった素子の機能及びノイズ抑制効果、更には回路を機能させるための信号品質の検討に当社のSD適用PD適用といった考え方を是非ご検討して頂きたいです。シミュレーションで検討しますので、ノイズ抑制効果(ノイズ輻射量の数値化は不可)を数値で検討できますし、素子の調整も可能で設計段階でのEMC設計上での最適化も可能です。

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