
静電気と聞いて読者の皆様はどのような現象を思い浮かべるでしょうか?
例えば、セルロイドの下敷きを自分の頭につけて擦って離した時にセルロイドの下敷きに髪の毛が引き上げられる、とか絡み合ったサランラップ等のシートが剝がれにくい、と言った現象でしょうか?
また、ドアノブに指先が触れた時にバッチという音共に鋭い痛み(電撃)、とかセーターを脱ぐときにパチパチと音がする、とかと言ったこともあるでしょう。
EMC設計で課題となる静電気、所謂ESDによる機器の不具合発生は後者に述べたような火花放電(パチパチと言った音や電撃)を伴うもので、前者に述べた現象はESD(機器の不具合を引き起こす)に対しては直接的な原因とはなりません。
機器に不具合を生じさせるESD課題は火花放電が関係する、と言うことは当ホームページの記事“サージ関連試験での不具合対策は試験パルス印加による2次放電発生も勘案して”や“27. ESD試験時の2次放電発生の予見・・・simで確認。これが不具合原因!”等で、ESD試験でのESDパルス印加後の被試験機内の2次的な火花放電発生が原因となっていることを指摘してきました。
では“なぜ火花放電が発生するのか”については、基本的に気体に特定の電位勾配(空気中であれば約30KV/cm)を越えていくと気体はプラズマ化(化学的なイオン化:一般的なイオナイザーによる所謂空気のイオン化とは全く異なります)するからです。このプラズマは物質の第4の形態(個体・液体・気体が物質の3態ですね)であって、ハウツー本等の説明で見られるような、電子の自由飛行とか空気の絶縁破壊(見かけがそうであってもメカニズムが異なります)と言った現象ではなく普遍的な状態なのです。(宇宙全体を構成する大多数の元素はプラズマ状態で存在すると言われています。)
この火花放電が機器・装置内で発生する箇所には特徴的な構造があります。それは“導体に挟まれた微小ギャップ”、です。と聞いて、そのような箇所はいくらでもあると思われ方も居られるでしょう。この導体に挟まれた(導体①、導体②が対向した隙間)で導体①と導体②が電気的に絶縁関係の場合は最も悪く、導体①と導体②が電気的に導通関係であっても物理的に導通している箇所が前述のギャップから離れているとESDガンによる電流パルスの印加により前述のギャップで火花放電を生じてしまう場合があります。
また、導体①と導体②が見た目で接触・導通した構成となっていても導体①及び導体②を構成する部材の表面の状態(例えば一方の導体の表面が酸化している)により導通状態になっていなかったりする場合もあります。更に、上記と同様な関係の導体①と導体②に関して、製造量に対して機器100台に1台程度の割合で不導通が生じてしまう場合もあり、ESD試験による機器の耐性に個体差があるように見えて、機器のESD対策を混迷化させてしまうこともあります。
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※関連ページ
サージ関連試験での不具合対策は試験パルス印加による2次放電発生も勘案して