4. ESD及び静電気による機器・装置の不具合解析に当社のESD2

ESD2は、可動部を有する機器・装置のメカ設計者・エレキ設計者に是非ご説明したい、機器・装置の設計段階でできる(やるべき)EMC設計です。また、稼働中の機器・装置が時折原因不明の不具合を起こしている際に、原因として静電気(静電気放電)が疑われる時に、それを確認する方法として必要な知識と対策の仕方を提供します。

ESD2とはESD Designの略称です。ESD (Electro-Static Discharge)は静電気放電を意味しますが、一般的に静電気と言うだけで、電荷による帯電からいわゆるスパーク(火花)を伴う放電も含んでしまうので、ここでの言葉の使い方として、静電気放電で、火花を伴う状況を火花放電と呼び、一般的に呼称されるESDとします。(火花放電=ESD)火花を伴わない放電(例えば除電等)も存在しますがここではそういった放電はESDの範疇の外とします。また、上述の不具合がもし静電気である場合は、火花放電(ESD)が原因となります。しかしながら、ESDを疑ったとしてもその性質や静電気に関わる知識がなければ、どういう原因解析するか、更にどういった対策をするのか、といったことを決めることができません。

私の経験ですが、こういった不具合が機器・装置に発生した際、大概エレキ側の問題にされ、エレキ側が原因解析を担当することになります。静電気の現象は大抵の人にとって生活の中で身近に経験する現象なので、それぞれの人が好き勝手に静電気の現象メカニズムをイメージします。このことが静電気説で問題解決を進めようとする上で大きな障害になっていきます。原理原則に基づかない自分勝手な仮説(というより単なるイメージ)なので、原因に行きつくことができず、悪いことにその仮説に固執し新たな展開をしようとするので、不具合解析は全く進まず、時間ばかりが過ぎ、あっという間に1年、2年が過ぎ、担当者が代わってまた同じようなことを繰り返す、それでも不具合解析ができていない、という状況をいくつも見てきました。担当者は一度仮説立てると大抵他の意見に耳を傾けようとはしないものです。

そこでのそういった担当者に何とかESD2の考え方を取り入れてもらって、不具合解析に当たってもらうと、1年近く解決できなかった不具合を半日の内に原因解析ができ、即ち、ESDが生じていることを観測でき、その日の内にその対策も立てることができた、ということもありました。

こういった不具合の原因は、実は殆どが機器・装置のメカ設計に起因する問題でした。ですので、ESD2ではメカ設計をどうすべきかを提案しています。それ程複雑なものではありませんが、設計ルール的な考え方で、設計段階でチェックしておくことが重要なのです。

ESDは電磁気学的背景と放電学的現象として火花放電の形で我々の前に現れます。そのことを是非メカ設計者やエレキ設計者に理解して頂きたいです。馴染みが無いかもしれませんが少なくともパッシェンの法則の理解は最低限必要です。

また、ESDを語る時、電荷で説明される方がいますが、原理原則に従って解説しているうちは問題ありません。しかし、この電荷について、電荷は〇〇したがっているとか、どこからか湧いてきて帯電、またどこかに消えて行って放電、するかのような仮説とか、電荷電子であるとして絶縁体表面を電子が移動するとか、除電ブラシが絶縁体上の電子を掃き取っている、等と思い込んでいる方もいたりして。こういった方々には当社のESD2は先入観の解きほぐしになると思います。

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